SEALDsの復刻版ではなく、広い受け皿を目指す
3月21日、「未来のための公共」のメンバー9人が参議院議員会館で記者会見し、設立趣旨などを説明しました。
会見では大学1年の福井周さん(19)が「今の政治に疑問を抱いている人たちの広い受け皿を目指している。私たちの未来を決定する政治の中に、私たちから立ち上がる公共があっていいのではないか」とあいさつ。「SEALDs(シールズ)とは別のところから出てきたチーム。シールズの復刻版ではなく、世代や職種を超えたつながり」と強調しました。
「ママの会@神奈川」のメンバーでもある主婦、石井あさみさん(48)は「きょう共謀罪が閣議決定された。十分な議論がされない政治プロセスに疑問と怒り、恐怖を感じる。私たち一人一人が暮らしの中で見つけた問題について、自分なりに意見や知識を持って気軽に話せる場ができたらいいなと思っている」と話しました。
今後は毎週金曜日夜に国会前集会を続けつつ、ツイッターやフェイスブックを通じて情報を発信。野党共闘の推進や「未来のための公共」独自の候補者を立てて選挙に出ることは考えていないと語りました。
「政府は嘘をつく」&「わたしの自由」
市民のための社会をつくることを目指し、国や大企業を動かそうと、日々声をあげている人たちに、おすすめ映画を2本紹介。
『すべての政府は嘘をつく』
優れた手腕で真実を追及する独立系ジャーナリストたちに焦点を当てたドキュメンタリー。1940~80年代に活躍し、「すべての政府は嘘をつく」という信念のもと、地道な調査でベトナム戦争をめぐる嘘などを暴いた米国人ジャーナリストのI・F・ストーン。大手メディアが会社の利益のために権力の欺瞞を追及しなくなってしまった現代において、I・F・ストーンの理念を受け継ぎ活動するフリージャーナリストたちの活動は、理不尽な国や社会に苦しむ人々の心強い味方となります。
『わたしの自由について SEALDs 2015』
2015年夏に国会前を群衆で埋め尽くして大きな話題となった学生団体「SEALDs(シールズ)」に密着したドキュメンタリー。手探りでスタートした15年春のSEALDs活動開始から、安保法案可決の9月までの半年間を追いかけています。毎週金曜日に国会議事堂前で抗議活動を始めて、日本全土へと広がりを見せた活動。どんな批判があろうとも、彼らの活動は真剣でした。21世紀の日本の市民活動の源流ともいうべき運動を、その場にいた人もいなかった人も追想してみませんか。
これが私たちの声
3月17日、「未来のための公共」は国会前で初めての集会を開き、多くの人が自由に声をあげました。
その中から一部をまとめました。
大学生
「戦前のような惨禍を再び繰り返してはいけません。私たちはこのタイミングで、もう一度主権者として政治を語りあいましょう」
高校生
「おかしいことにはおかしいと言うべきだ。社会を良くするのも悪くするのも私たちの選択」
保育士
「子どもたちの笑顔を守るため命を守る政治に転換を」
佐藤学(学習院大学教授)
「森友問題は教育界最大のスキャンダル。安倍政権の最も醜い部分が現れた。この問題は終わらせない」
飯田能生(NHK元チーフプロデューサー)
「いま戦前戦中の歴史をなぞっているかのような事態が起こっている。それによって日本の民主主義がこわれるのを黙って見すごすわけにはいかない」
小西洋之 参院議員(民進党)
「首相や稲田朋美防衛相に代表される『国家や社会のために国民が働き、死んでいくのが当たり前で美しい国だ』という価値観を持つ政治家がいることが、今の政治の問題を生んでいる」
小池晃 書記局長(共産党)
「森友学園の幼稚園で行われている中身にこれからの日本の危険性が表れている。あれが美しい国、戦争する国だ」
参加しやすい集会を目指して…2500人が結集
新しい市民団体「未来のための公共」が2017年3月17日に発足し、同日夜に東京・永田町の国会議事堂前で初の集会を開きました。
「未来のための公共」の発表では、集会には約2500人が参加。発足メンバーの一人、都内の大学生馬場ゆきのさん(20)は、集会でマイクを握り、「安保法には反対だったけど、自信を持って言える考えもなく、行動しなかった。でも、未熟な自分がスピーチすることで、誰でも声をあげる権利があると伝えられると思った」と熱く語りました。ほかにも高校生や保育士の男性、野党の国会議員ら約10人が次々に壇上にあがり、声を出しました。
めざすのは「参加しやすい集会」。政治問題などに抗議する従来の集会では、皆で「反対」を叫んだり、強い口調で批判を繰り返したりする場面も多い面も見られましたが、より多くの人が参加しやすいように、そうした活動は少なくする方針。参加者のささいな疑問も語れる場を作っていく。